会いたい人

人間 肩幅が異様に大きくアンバランスな格好で階段を上がって来た黒いひと。 ぼくは階段の上からじっと見ていた。 ぼくは声をかけられた。 初めて会う不思議な人間だった。 黒いひと 黒いひとなど避けるぼくに。 その黒いひとは流暢な日本語で、人は皆同じと…

友達

電車 ぼくは友達の家に急いだ。電車に乗り。 夏の終わりのこの日に。 ぼくは電車を降りた。急に雨が空から降ってきた。慌ててコンビニでビニール傘を買った。 濡れずにすんだ。「助かった」 帰り 帰りは気分良く帰れた。雨もやんだし、手ぶらだし。 ぼくは気…

少しだけ眠る街

街 ぼくの街にも少しだけ眠る街がある。大都会のように全く眠らない街ではないが。 そんなところにこんな方々は住んでいる。ホームレスだ。 ぼくは見て見ぬふりをする。しかし、手作り弁当をみんなの分届ける人もいる。 このひとたちが なぜなったか? なり…

カオナシ

カオナシとぼく 誰かが階段の下で首を長く伸ばし右をキョロキョロ、左をキョロキョロ。何かを探すように。まるで千と千尋の神隠しのカオナシのように。そして階段を上ってきた。ぼくは階段をいつものようにふらふらっと降りる。すれ違い様に『よっ、viento!…